お客様との会話から生まれた「虹の橋」の物語
――今回の作品は、どのように生まれたのでしょうか?
実は、お客様との会話がきっかけなんです。
以前、お店に来られたお客様から『ペットが亡くなると虹の橋を渡るという話がヨーロッパにあるんですよ』というお話を聞いて。それがずっと心に残っていました。
いつか花で表現してみたいなと思っていたんですが、今回の花キューピットグランプリの作品を考える中で、その話を思い出したんです。
――そこから「虹の橋」をテーマにした作品づくりが始まったのですね。
そうですね。ただ、普通にブーケやアレンジメントを作るだけでは面白くないなと思いました。
そこで着目したのが、ヨーロッパの供養文化です。ヨーロッパでは人が亡くなった際に棺の上へリースを供える文化があるので、『それならリースで表現してみよう』と考えました。
――作品にはどのような想いを込めたのでしょうか?
リースの下半分は、一緒に遊んだ野原をイメージしたグリーンで構成しています。そして上半分は虹です。
ペットとの楽しかった思い出から、虹の橋へと続く旅立ちの物語を表現したいと思いました。
花材もカスミソウやタンポポのドライフラワー、ユキヤナギ、アルケミラモリスなど、柔らかく優しい雰囲気のものを選んでいます。
――商品としても販売を想定されていたそうですね。
はい。この作品は実際に販売することを想定していて、価格は7,700円(税込)に設定しました。
花キューピットグランプリは、デザインの美しさだけでなく、実際にお客様へ届ける商品としての提案力も求められるコンテストです。
従来のお供え花とは少し違う、新しいペット供養のかたちとして提案できればと思って制作しました。

「また会えるから大丈夫」――虹の橋に込めた想い
――「虹の橋」というテーマには、どのような想いが込められているのでしょうか?
「虹の橋の物語って、ペットが亡くなると虹の橋を渡って、その先で飼い主さんを待っていてくれるというお話なんです。
だから、亡くなったら終わりじゃなくて、『また会えるから大丈夫だよ』『寂しくないんだよ』という意味が込められているんですよね。」
この物語はヨーロッパで語り継がれてきたもので、ペットを亡くした飼い主を慰めるためのストーリーともいわれているそうです。
「虹の橋を渡った先で元気に待っていてくれている。そう思えるだけで、少し気持ちが救われる方もいるんじゃないかなと思うんです。
ペットを亡くされた方の気持ちに、少しでも寄り添えるようなものが作れたらと思いました。」
今回の作品では、野原を思わせるグリーンから虹へと続くデザインによって、その物語を表現しました。

受賞作品のリース
2〜3日をかけて完成した作品
――制作にはどのくらいの時間がかかったのでしょうか?
「2〜3日くらいですね。
正直、大変でした(笑)。
今回の大会はコンテストではあるんですが、商品性も重視される競技なんです。だから、どこまで手をかけるか、そのバランスがすごく難しかったですね。
作り込みたい気持ちはあるんですが、商品として考えると時間をかけすぎるわけにもいかない。その加減を考えながら制作していました。」
――2〜3日ですか。かなり時間をかけられていますね。
「そうなんです。細かい作業が本当に多くて。
例えばカスミソウも、そのまま使うのではなく、小さな花の部分を一つひとつ挿していったんです。ひたすらその繰り返しでした。
細かく、細かく作り込んでいった結果、気付けば2〜3日かかっていましたね。」
作品を近くで見ると、虹の部分には繊細な色彩の変化が表現されています。その美しいグラデーションの裏側には、丁寧な手作業の積み重ねがありました。
「細かく、細かく作り込んでいった結果、気付けば2〜3日かかっていました。」
商品として実際に販売できる現実性と、コンテスト作品としての完成度。その両立を目指しながら作り上げた作品だからこそ、全国第2位という評価につながったのかもしれません。
次なる舞台へ
――今後、挑戦したい大会はありますか?
「次はジャパンカップの東京予選に出場する予定です。」
ジャパンカップは、国内トップレベルのフローリストが技術と表現力を競う大会。次の目標として、その予選に挑みます。
――全国第2位という結果を受けて、さらに期待も高まりますね。
「結果がどうなるかは分かりませんが、しっかり勉強を続けながら挑戦していきたいと思っています。」
花キューピットグランプリ初出場で全国第2位、石川県知事賞受賞という快挙を成し遂げました。
お客様との会話から生まれた「虹の橋」の物語は、多くの人の心を動かし、全国の舞台で高く評価されました。
次なる舞台はジャパンカップ東京予選。さらなる高みを目指す挑戦に、今後も注目していきたいと思います。

